BC級戦犯の獄中ドラマ
2009年5月号 連載 [日記逍遥 第4回]
「世界は一家、人類みな兄弟」「戸締まり用心、火の用心」笹川良一といえば、すぐにこのCMが思い浮かぶ。「日本の黒幕」「最後のドン」などの悪評ともあいまって、童謡風なのに、どこかいかがわしさを感じさせるCMであった。だがそのイメージも、巣鴨獄中日記を読むと一変するだろう。巣鴨の日記といえば、不安や不満、後悔に満ちた日記が多いなかで、笹川日記だけは信じがたいほどの熱力に溢れている。大統領には手紙を出して日米親善と共産主義の脅威を訴え、同部屋の者には意気消沈しないよう元気づける。さらに当局の不当な扱いには抗議をし、報復のリンチを受けても屈せず、釈放されると戦犯者とその家族への物心両面の援助を惜しまない。しかもそれについて、書き記しさえしなかったという。あまりの堂々たる巣鴨振りに、日記や礼状が残っていなかったならば、真偽のほどを疑われていたかもしれな ………
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