簡略な調査報告書を開示し、米国での刑事訴追と巨額賠償を免れる目論見に勝算は。
2018年6月号 BUSINESS
「薄いな」。3月6日、神戸製鋼所が品質管理データの改ざん問題をめぐる報告書を公表した東京都内の会見場。横にいた記者が、配布された文書を触り、そうつぶやいたのが聞こえた。文書は80ページほど。昨秋から、三菱マテリアル、東レなど大手企業で、データ改ざんの問題が相次いで火を噴いたが、発火点は神戸製鋼だった。だが、外部調査委員会を立ち上げ、十分に時間をかけて調査してもらったはずなのに、弁護士から出てきた報告書は、その調査結果を手直しした「簡略版」だった。簡略な報告書は、現役役員のうち、3人を槍玉に挙げたが、いずれも匿名。そしてその「薄さ」にはちゃんと理由があった。「弁護士秘匿特権」が本物の報告書の公表を拒む壁になったというのだ。この特権は、企業と弁護士のやり取りを秘密扱いにして裁判の証拠から外せる権利のこと。欧米で用いられるという。弁護士名で外部に ………
オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。
FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。