膨張する「スタートアップ・バブル」/地上の太陽「核融合発電」は夢のまた夢

メディアの枕詞は常に「地上の太陽」「夢のエネルギー」であり、成果は必ず「実用化への一歩」と煽り、持て囃すが……。

2024年7月号 DEEP [永遠の30年]

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映画『オッペンハイマー』の登場人物の中で、一貫して「原爆」ではなく「水爆」の開発を主張していたのがハンガリー生まれの物理学者エドワード・テラーである。水爆は1952年に完成、テラーは「水爆の父」と呼ばれることになる。広島・長崎に投下された「原爆」の原理がウランやプルトニウムなど重い元素の「核分裂」であるのに対し、「水爆」は水素の同位体など、軽い元素の「核融合」がエネルギー源である。核融合エネルギーを発電に使うことができれば、世界のエネルギー問題は解決するとの夢物語は100年近く語り継がれてきた。しかし今日まで豆電球ひとつを灯す電気も作られていない。2022年12月、米国ローレンス・リバモア研究所がレーザー核融合装置を使って、投入したエネルギーを上回る出力を実現したと発表すると、「核融合発電ブーム」に一気に火が付いた。メディアは「核融合発電、実用化へ ………

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