中央省庁再編以来の大規模改正――。齋藤健・経済産業大臣は7月1日付の同省の組織改編をそう形容した。自慢の大型人事の目玉が、貿易経済協力局を改組した貿易経済安全保障局だ。円借款など経済協力に関する事務を通商政策局に移管する一方で、新たな局の中核として「経済安全保障政策課」を新設した。しかし、その所掌事務は「経済産業省の所掌事務のうち安全保障の確保に関する経済施策に関する総合的な政策の企画及び立案並びに推進に関する事務」と漠然としている。面妖なことに、経済安全保障とは何かの定義は一切ない。まさに、それこそが狙いとみるべきだろう。組織の名前を変えることで権限を拡大するのはこの役所のお家芸だ。省庁再編時に通商産業省から経済産業省へ改称したことで、マクロ政策への発言権を得たのが成功体験だ。今回の組織改正で、経産省はエネルギーと経済安保の二枚看板体制を ………