国民民主党代表代行 古川 元久氏に聞く!/聞き手 本誌・宮嶋巖

千載一遇の「国会改革」の大チャンス!

2024年12月号 POLITICS [キーマンに聞く!]

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1965年生まれ。東大法卒。大蔵省を経て衆院当選10回(愛知2区)。内閣官房副長官(菅内閣)、国家戦略担当大臣(野田内閣)など歴任。20年9月の国民民主党結党時より現職。

――30年ぶりの「ハングパーラメント(宙づり国会)」でキャスティングボートを握りました。

古川 この間、久しく「国会審議の形骸化」が叫ばれ、それが政治に対する国民の信頼を失わせる一因となってきました。まさに千載一遇、抜本的な国会改革を進める大きなチャンスを得ました。

――国対委員長を長く担われたご経験から形骸化した国会をどのように変えたいとお考えですか。

古川 さまざまな形で国会審議を活性化させていきたい。たとえば現在、委員会での議論は殆どが政府と議員との間のやりとりのため、委員会が所管する省庁の大臣の日程が取れないと定例日であっても委員会は開催されません。しかし今後は委員会の定例日には必ず委員会を開催することとし、大臣がいない時には議員間討議を行ったり、外部有識者を招いて参考人質疑を行うようにしたらいいと思います。また党首討論について、石破総理自身が「最低でも2時間はやるべき」とブログに書いています。最低でも月2回2時間の党首討論を行うこととしたらいいと思います。開催時間も多くの国民の皆さんが生中継でご覧になれるよう、午後7時~9時の間に行いたいものです。

さらに与党がこれまで行ってきた法案の国会提出前の事前審査制を止めて、政府提出の法案は与野党が一緒になって国会で議論して必要な修正を行うようにすべきです。こうすればどのようにして政策が決まっていったのかという政策決定プロセスが明らかとなります。政府に入らない与党議員の出番が増え、国会が文字通り機能していると、国民の皆様に思っていただけるようになるでしょう。

――世論調査で御党の支持率が急伸、立憲民主党に迫る勢いです。

古川 年明けの地方選、来夏の都議選、参院選では、できる限り候補者を擁立して党勢拡大を図りたいと思います。ただ誰でもいいから数を立てるという立場には立ちません。候補者を選ぶ際には十分に注意して選んでいきたい。いまは我が党に対して風が吹いているので、こうした時に我が党から選挙に出たいと手を挙げる人の中には「楽して議員になりたい」という人が、しばしば含まれます。こういう人は風向きが変わるとすぐに党を離れたり、党を批判したりします。党勢はいい時もあれば悪い時もあります。党勢がどうであろうと我が党でやりたいという強い気持ちを持つ人を探して、候補者として擁立していきたい。

――名実ともに「対決より解決」政党になったと感じていますか。

古川 今回の選挙で4倍増になったとはいえ衆議院の総数465議席の中ではわずか28議席、議席数の6%を占めるに過ぎません。参議院も無所属で同じ会派を組む2人を含めても11議席しかなく、「数が力」の国会では、まだまだ非常に小さな存在です。今回、たまたま与党が過半数割れし、我々の数を足すと過半数を超える状況となったがために注目を浴びているだけです。浮かれることなく冷静かつ慎重に行動しなければなりません。さもないと間違いなくすぐに足元をすくわれます。2009年の政権交代の際には有頂天となって調子に乗り、300議席を超える議席があったにもかかわらず、わずか3年3カ月で政権を失った。今の私たちはそんな数もないし、まして与党でもありません。ふつうに考えたら、自分たちのやりたいことはまずできないのです。しかし現下の状況をうまく活かせば、今回の選挙で訴えた政策を実現できる可能性があるので、なんとかして政策実現に漕ぎつけられるように、全力を尽くしていきたいと思います。

(聞き手/本誌編集長 宮嶋巌)

   

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